垂水平安祭典会館からのお知らせ
2016年07月21日
お盆の豆知識
こんばんわ。館長の後藤です。
まもなく、お盆の季節となります。
地域によっては、盆踊りや地蔵盆など地域の取り組みとして行われている所もあるようです。
皆さまのご自宅ではどのように迎えられますか?
少し意味合い等を踏まえて、お盆を迎えられてはいかがでしょうか。
※仏教全般において、一般的に解釈されている内容に倣い編集しています。
浄土真宗ではお盆を歓喜会(かんきえ)と呼び、意味合いも異なります。
その他、宗旨宗派により異なる場合がある旨ご了承願います。
●お盆とは…
仏教用語「盂蘭盆」(うらぼん)の略で、太陽陰暦である和暦の7月15日を中心に行われる日本の国民的行事のひとつです。
『盂蘭盆会経』は、お釈迦様の弟子の目蓮(もくれん)が地獄で餓鬼に苦しんでいる母親を救い出すためにお釈迦様に教えを請い、7月15日に十万の僧侶に食物を施し、供養することによって救うことができたという言い伝えによるものです。お盆は「先祖の霊が帰る」という日本古来の言い伝えと、仏教の盂蘭盆会が習合して現在の形になったものです。
●盂蘭盆(うらぼん)とは・・・
ウラボンという梵語は倒懸(とうけん)ーさかさまーという意味です。即ち、頭を下にして、足を吊られてさかさまになって苦しんでいる人を救うのがお盆のはじまりです。ところが亡くなった人は既に喜怒哀楽のない静かな世界にいます。むしろ腹を立てたり、悩んだりしているのは現世に住む私たちです。
目蓮の故事から先祖供養の日となって今日まで継承されていますが、これはご先祖様はあの世から、限りある命の尊さを知らしめるだけでなく、常に何かに飢えてもがく私たちこそ餓鬼の実相であることを気付かせてくれています。
ご先祖や亡き人を偲ぶと共に、現世で倒懸に生きる私たちは「人間に生まれた意義と生きる真の喜び」に目覚めるため、聞法精進に努める大切な機縁であり、お盆の本意であると解釈されています。
《参考資料》・教化委員会 教化センター通信・No.38
・『世界の光 親鸞聖人』に学ぶ・第47回よりこぼれ話・・・釈尊の教えによって目覚めた目蓮が、持ち前の神通力を持って三世を観たところ、母親が餓鬼道で苦しんでいることがわかりました。
母親を助けようと、鉢に飯を盛って母親に捧げましたが、火となって燃え尽きてしまい母親に食べさせることができませんでした。目蓮は悲しみ、「どうしたら母親を救うことが出来ましょうか」と釈尊に尋ねたところ、「聞法(もんぼう=仏法を聴聞すること)に精進した衆僧(しゅうそう)を招いて供養しなさい」と仰せられたそうです。
仰せに従い供養したところ、母親はたちどころに餓鬼道から天上界に浮かぶことができたそうです。この時、仏弟子たちが喜びの
あまり踊り出したことが盆踊りの由来とされています。
●時期が異なる「3つ」のお盆
お盆の行事はもともと旧暦の7月15日前後に行われていましたが、明治時代に旧暦から新暦の入替が行われた際、全国各地域の対応が様々であったため、時期が異なる「3つ」のお盆が日本全国に存在するようになったといわれています。
(1)「7月盆」・・・7月15日頃 東京・横浜・東北地方など
(2)「8月盆」・・・8月15日頃 北海道・新潟・長野・関東南部・関西 地方など、全国的に多い
(3)「旧盆」・・・(*)旧暦の7月15日 関東北部・中国・四国・九州・南西諸島 など
(*)新暦での日程は年により異なり、新暦の8月20日前後となります。
●お盆の始まり(盆入り)
お盆の始まりのことを「盆入り」といいます。お盆の期間は7月13~16日、関西地方は8月13~16日が一般的です。
関東から中部地方では、一般的に7月1日を「釜蓋朔日」(かまぶたついたち)と呼び、この日からお盆が始まると考えられています。また地獄の釜が開き、精霊が出てくる日とされていて、お盆の季節の始まりをわかりやすく伝えています。
●お盆の準備(盆支度) ※宗旨宗派により異なる場合があります。
地方によって慣習が異なりますが、精霊(しょうりょう)たちは里の近くや山や墓地から家々に帰ってくると考えられ、その帰り道を整えるのが「盆路つくり」または「精霊路」といわれます。
一般的には仏壇を清掃し、精霊棚(しょうりょうだな)を準備します。
精霊棚には、位牌・香炉・燭台・花立て・鈴を移し、迎えだんご(新粉)などその地方の慣習で決まったお供えをします。またキュウリとナスで作った馬牛をお供えし、精霊たちを迎える準備をします。13日の迎え盆までにお花を盆棚や墓地に供え、その日の夕方にお墓参りを行い、自宅に戻り炮烙(ほうらく)という素焼きの皿の上でおがらを焚きます。
※火を焚くのが難しい家庭では、お盆提灯を飾って迎え火の代わりとする場合もあります。
●迎え盆(迎え火)
7月13日(関西地方は8月13日)の夕方から迎え火の行事が行われます。迎え火は精霊たちがそれぞれの「家」に戻る目印となるものです。迎え火を焚く場所は、家の門口や庭先、道の辻、墓地などが一般的に多く見られます。
火を焚くのが難しい家庭では、盆灯篭をつけ目印とします。
※迎え火に焚かれる素材は、一般的にはおがらが使われますが、その他 松や麦藁、豆穀や白樺が使われることもあります。
こぼれ話・・・ある地域では、迎え火を焚くときは精霊に向かって呼びかけます。
そこにはあたかも精霊がいるかの如く振る舞い、それぞれの家の盆棚まで案内するそうです。
●送り盆「精霊送り」
迎え盆の「迎え火」に対し、精霊たちを送り出す行事が「送り火」です。
京都の大文字焼(正式には“五山送り火”と呼ばれます)がお盆の送り火として有名です。
家々では盆棚に上げていた様々な食べ物=「盆供」を下げ、川や海などに流します。16日(または15日)に送り火を焚いて、お盆の間一緒に過ごした精霊とともにあの世に送り出します。
【参考資料】
各地の送り火に代わる伝統行事(「精霊流し」と「灯篭流し」)精霊流しは、精霊送りの一つで、長崎市県内各所では盆月の15日にその年に新盆を迎える家が故人を送るための舟(精霊船)を作り、川や海に流す慰霊行事となっています。
九州では長崎県以外に佐賀県、久留米市などで盛大に行われ、特に長崎県の精霊流しは多くの市民や観光客が訪れ、夏の風物詩となっています。
灯篭流しは、地域により意味合いが異なりますが、基本的には精霊流しと同様です。広島では原爆被害者の鎮魂と平和への祈りを込めて灯篭流しが行われます。関西地方では、京都嵐山の灯篭流しが毎年行われており、渡月橋から流された灯篭が桂川に流れる幻想的な風景が見られます。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。